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【連載:再起のゴルフ④】”混沌と覚醒”20ホールの死闘。121の男が掴んだ「泥臭い一勝」

tetsunogolf

Episode 1:3月の停滞。消えない不安と「踊り場」の苦しみ

スライスを捨て「フックボール」にすべてを賭けた冬を越え、ようやく福井の雪が溶け始めた3月。練習場での弾道も、明らかに以前とは違う手応えを感じていた。

しかし、スコアカードに並ぶ数字は、皮肉にも前年とさほど変わらない日々が続いた。スイングは変えた。意識も変えた。なのに、結果だけが「踊り場」で足踏みしている。 「本当にこの道で合っているのか?」 出口の見えないトンネルを歩いているような、静かな不安。それが3月の私のリアルだった。

Episode 2:5月、県アマでの挫折。届かなかった「あと一歩」

停滞期を耐え抜き、少しずつスコアが動き始めた5月。満を持して挑んだのが**「福井県アマチュアゴルフ選手権(県アマ)」**だった。 自分のゴルフが通用するという確信はあった。だが、結果は「あと一歩」に泣く予選落ち。 情けなさと自分への怒りで、その夜は一睡もできなかった。私の「甘さ」を突きつけられた、最悪の夜だった。

Episode 3:翌日の逆襲。怒りの月例杯初優勝

県アマの悔しさを引きずったまま、翌日に迎えたAクラスの月例杯。 私の心は怒りで研ぎ澄まされていた。「昨日の借りは、今日返す」――その執念だけが体を動かしていた。

結果は、前半41、後半41のトータル「82」

昨日あんなに遠かったスコアが、嘘のようにまとまった。Aクラス初参戦にして、いきなりの初優勝。3月の停滞、5月の挫折……それらすべてが、この一日のためにあったのではないかと思えるほどの、鮮やかな「覚醒」の瞬間だった。

Episode 4:6月、四大競技「キャプテン杯」の罠

快進撃は止まらない。6月、クラブの最高峰を争う四大競技の一つ「キャプテン杯」が開幕した。予選を1位で通過。ハンデはAクラスで最も有利な「11」。 「負ける理由がない」――自信に満ち溢れて臨んだ決勝トーナメント1回戦だったが、1番ティーに立った瞬間、私は己の未熟さを知る。

「全身が、ブルブルと震えて止まらない……」

生きた心地がしないまま放ったショットは乱れ、震える手でのアプローチは大トップ。グリーンを何度も行ったり来たりし、最後はグリーンに乗っていないのに相手から「OK」をもらう完敗のスタート。予選1位のプライドは、わずか1ホールで粉々に砕け散った。 緊張をほぐすために持っていった目土袋をこのホールで忘れていって、後続の選手にイジられた事を今でも覚えている(笑)😆

Episode 5:18番の奇跡、そして19番の「絶体絶命」

相手はホームコースの代表選手。その後のホールも一進一退の展開。ようやく緊張が解けてきた私は上手くハンデを活かしながら互角の展開を見せる。試合は終盤に差し掛かり、1ダウンで迎えた最終18番、私は開き直って得意のドローを右から回し込み、ピンそばへ。奇跡のパーで追いつき、キャディさんたちの称賛を受けながらエキストラホールへ突入した。

だが、運命はまだ私を試していた。 19ホール目、私はプレッシャーから痛恨のボギー。対する相手は、深いラフから見事なリカバリーを見せ、ピンそば1.5mのバーディチャンスにつけた。

パットの名手である彼が、この距離を外すはずがない。 私は……その光景を直視できず、グリーンに背を向けた。 心臓の鼓動だけが耳元で鳴り響く。 「頼む、カップの音よ、鳴らないでくれ……」 静寂の中、ただ一点を見つめて祈り続けた。……数秒後、聞こえてきたのはカップの音ではなく、彼の叫びにも似たため息だった。

「外れた。」

ハンデのおかげで、このホールは引き分け。命拾いした。ゴルフの神様が「まだ戦え」と言っている。

Episode 6:20ホールの死闘。静まり返ったコースでの「絶叫」

20ホール目、さらに重圧は増す。進行の関係で、前を回るビジター客の方々にプレーを止めてもらい、その合間で打つことになったのだ。大勢の視線が突き刺さる「公開処刑」のようなプレッシャー。

相手が林からスーパーリカバリーを見せ、どよめきが起こる。それに対抗する私の第3打。 ここで相手が痛恨のミスでバンカー。チャンスが転がり込んできた。

「……勝てる。」

その瞬間、私の中に邪悪な「色気」が芽生えた。勝ちを急ぎ、かっこよく決めようとした慢心。そのわずかな心の隙を、プレッシャーという魔物は逃さなかった。 力み倒した私のアイアンは、無惨に地面を大きく叩いた。ボールは無情にもバンカーへと消えていく…。

「クソーーーーーーーー!!!」

静まり返ったコースに、自分への怒りの絶叫が響き渡った。 まるでジャック・バウアー(知ってる?)が絶体絶命の窮地に陥った時のような、魂からの叫び。 相手のミスを目の当たりにして色気を出してしまった自分、そしてその重圧に呆気なく負けた自分が、あまりにも情けなくて、声を荒らげずにはいられなかった。

恥ずかしさも忘れ、ただ勝ちたいという執念だけで、泥臭くバンカーから脱出し、2パット。 結果は引き分け。だが、ハンデのおかげで、私の勝利が決まった。

Final Episode:ウイニングランの風と、帰りのカートでの沈黙

「……ありがとうございました」

20ホールに及ぶ魂の削り合いに、ようやく終止符が打たれた。握手を交わした相手の手の温もりと、自分の指先の震え。決着がついたのはアウトの2番ホールだった。

私はカートの運転席に座り、クラブハウスへ帰る準備をした。後ろの座席には、この日一番の強敵だったベテランが座っている。 「発車します」 振り返ってそう告げると、彼は無言のまま、悔しそうにタバコをふかしていた。紫煙が6月の風にたなびき、後ろへと流れていく。 「強かった……」 もしハンデがなければ、私は負けていただろう。ホームコースの看板を背負う男のプライドと、負けた悔しさが、狭いカートの中に重く、静かに充満していた。

気まずい沈黙の中、私はカートを走らせる。 コースの各ホールでは、まだ多くのプレイヤーたちがプレーしていた。すれ違うたびに、私は軽く頭を下げて挨拶を交わす。

後ろに**「偉大なる敗者」を乗せ、タバコの匂いを感じながら走り抜けるその時間。 それは、私にとって何物にも代えがたい、少し苦くて、けれど誇らしい「ウイニングラン」**だった。

あの日、121を叩いて「選手」と呼ばれ、肩を落としていた男はもういない。 ゴルフを諦めなくて、本当によかった。 だが、これはまだ物語の序章に過ぎない。121の屈辱から始まった私の逆襲劇は、ここからさらなる嵐の中へと突き進んでいく。

(第5話:準決勝・決勝編へ続く)

ABOUT ME
ゴルファーてつ
ゴルファーてつ
アマチュアゴルファー
福井県在住のサラリーマンゴルファーです。 かつては**ハンデ「4.7」**まで登り詰めたシングルプレイヤーでしたが、スイング改造に失敗し、早3年が経つ深いスランプに陥っています。 「このまま終わってたまるか!」と一念発起し、相棒のMacBook AirとAI軍師と共に再起を誓いました。再び70台を奪還するまでの泥臭い試行錯誤と、Mac代14万円を回収するプロセスをリアルに発信していきます。 私と一緒に、どん底から這い上がりましょう!
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